「みちびき」の増加でドローン飛行がより安定!測位誤差の改善に期待
測位誤差の原因と解決策
ドローン飛行時の測位誤差は、マルチパス(建物や樹木による反射)や衛星配置によるものが主な原因です。これらの誤差を改善するためには、測位に使用する衛星数を増やすことが必要です。しかし、従来のGPS衛星だけでは、衛星数が不足しているという問題がありました。これは、GPS衛星がアメリカ合衆国が運用しているため、日本が自由に衛星数を増やすことができないからです。
「みちびき」の導入による測位誤差の改善
そこで、日本ではGPS互換の「みちびき」衛星を増やすことで、測位誤差の改善に取り組んでいます。2018年11月に「みちびき」が4機体制になったことで、GPSと組み合わせることでより多くの衛星が地上から見えるようになりました。これにより、ビルや樹木などで視界が狭くなる都市部や山間部でも、安定した測位を行うことが可能になりました。
ドローン市場への「みちびき」対応の期待
現在、市販されているドローンの中で「みちびき」に対応しているものはまだ少ないですが、今後新しく発売される一般向けドローンがどんどん「みちびき」対応になることを期待しています。これにより、趣味でドローンを飛行させる人たちも、より安定した飛行が可能になり、飛行エリアも広がるでしょう。
ドローン操縦士への「みちびき」のメリット
「みちびき」の導入により、ドローン操縦士にも大きなメリットが生まれます。測位誤差が改善されることで、ドローン飛行の安定性が向上し、飛行エリアが拡大します。さらに、都市部や山間部での飛行も容易になり、より多くの人々がドローンを楽しむことができるようになります。また、高精度な測位が可能になることで、写真撮影や映像撮影などのクリエイティブな活用も向上し、さらなるドローンの活躍が期待されます。
これからのドローン市場の展望
「みちびき」対応ドローンが今後増えることで、ドローン市場もさらなる発展が期待されます。より高精度で安定した飛行が可能になることで、ドローンを活用した産業用途や緊急時の救助活動など、さまざまな分野での利用が広がることが予想されます。また、ドローンの普及に伴い、飛行ルールや安全対策に関する法律や規制も整備されることが求められます。これにより、趣味でドローンを飛行させる人たちにとっても、安全で快適なドローンライフが実現できることでしょう。「みちびき」の導入により、ドローン飛行の測位誤差が改善され、より安定した飛行が可能になることが期待されています。趣味でドローンを楽しむ20代から80代までの幅広い読者の皆様にとっても、今後ますますドローンが身近な存在になるでしょう。これからのドローン市場の発展にも注目していきましょう。
「みちびき」搭載ドローンの具体例:株式会社コアのChronoSky PF2
最近、株式会社コアが準天頂衛星「みちびき」のセンチメートル級測位補強サービス「CLAS(シーラス/Centimeter Level Augmentation Service)」に対応したドローン「ChronoSky PF2」を発表しました(参考:記事)。CLASを利用することで、センチメートル単位の位置精度を実現し、モバイル回線が届かない場所でも正確な位置情報を取得できることが特徴です。これにより、ドローンの活用範囲が大幅に拡大されることが期待されています。
技術革新による「みちびき」受信機の小型化
ChronoSky PF2が実現できた背後には、「みちびき」受信機の小型化があります。従来のRTK(Real Time Kinematic)測位は携帯電話圏外では補強情報を取得できず、数メートルの測位誤差が生じてしまうことが問題でした。しかし、「みちびき」のCLASを搭載することで、携帯電話圏外でもセンチメートル級の測位精度を維持できるようになりました。
砂防ダム点検への応用
ChronoSky PF2は、すでに販売が開始され、コアが独自に開発した点検業務用ソフトウェアと共に、砂防ダムにおける保安点検の実証実験が始まっています。砂防ダムは、車で行くのも難しく、携帯電話の電波も届かない山中に建設されていることが多いため、従来は保安担当者が四駆車で山坂を走破し、重労働の末、写真を撮って確認するのが一般的でした。しかし、ChronoSky PF2を使用することで、モバイル回線が受信できない場所でも、測位誤差を最小限に抑えながら安全な自動航行で砂防ダムの三次元モデルを生成するこ
とが可能になります。これにより、保安担当者の負担が軽減され、より効率的かつ正確な点検が実現されることが期待されています。
今後の展望とドローン活用の拡大
ChronoSky PF2のような「みちびき」搭載ドローンは、これからさらに多くの分野で活用されることが予想されます。例えば、災害時の救助活動や、農業分野での作物管理、インフラ点検などにも適用される可能性があります。また、一般向けドローン市場においても、次世代のドローンが「みちびき」に対応することが期待されており、趣味でドローンを飛行させる人たちにとっても、より安定した飛行と高精度な測位が可能になるでしょう。
これからのドローン技術の進化に伴い、「みちびき」の活用がさらに広がることで、日本の測位技術やドローン活用の可能性が大きく向上することが期待されます。これにより、さまざまな業界での効率化や、新たなサービスの創出が加速されることでしょう。