空撮用途や、農薬散布等では必須ではない国家資格

国家資格制度が始まっても、国家ライセンスなしでこれまで同様DIPSによる飛行許可申請の人が多い理由とは?

夜間飛行や目視外飛行の許可承認は、DIPSを通じて国土交通省へ申請(無料)を行うことで、夜間飛行や目視外飛行、物件投下などの許可承認を取得することは可能であり、これまでも実地講習を受けずに、オンライン講座等のみで知識を得たり練習方法を知ったりして自分で練習を行い、現在、ドローンを操縦している人は大勢いる。

現在も、近い未来も、国家ラインセンスを取得せずに、これまでも同様、自分で操縦練習を行い、自分で申請をすることは可能である。そんな中、前節を見てわかる通り、夜間飛行や目視外飛行を含まない「国家ライセンス」をわざわざ多大な費用と時間をかけて取得するのか、疑問に思う人もいるかもしれない。さらに、夜間飛行や目視外飛行を含む「国家ライセンス」を取得するには、追加の講習を受けたり、追加の実地試験を受けなければならないのだ。

「一等無人航空機操縦士」は第三者上空での飛行を目的に取得しなければ、飛行させることはできないため、輸送分野でドローンを第三者上空で飛行させる業務を行う人にとっては非常に意味のあるものである。

しかし、「二等無人航空機操縦士」のメリットは何なのだろうか?「二等無人航空機操縦士」を取得しても、第三者上空で飛行させることはできない。

「二等無人航空機操縦士」は、あくまで「一等無人航空機操縦士」の取得を目指す人のために、途中のプロセスとして用意されたものではないだろうか?

 

そう考えると、輸送分野以外でドローンを活用しようという人にとって、現実には、当面は、ドローン国家ライセンスは、ドローンを飛行させる人の一部が関係することにとどまるだろう。

実際には、これまでのDIPSを通じた国土交通大臣の許可承認申請は、そのまま継続されることから、多くの場合、当面は、国家ライセンスなしで、これまで通り、ドローンを飛行させる人が大多数を占めると思われる。

そもそも、ドローンの国家ライセンス制度は、これまで申請しても許可がほぼ下りなかった「第三者の上空で補助者なしでの目視外飛行」を可能にすることが目的で創設されたものである。

 

2022年12月よりも前は、第三者上空での無人航空機の飛行は認められておらず、そのため、輸送のためにドローンの定期飛行を行うことは需要のあるほとんどの地区で実現は難しかった。

過疎地など、ドローンの飛行する下に第三者が存在しない場所であったり、海であったりする場所(無人地帯)で実証実験はこれまでも複数行われている。

ただ、輸送ルートが無人地帯のみというのは、輸送分野でドローンを活用する制限となっていた。

それが2022年12月の改正航空法施行により、ドローン国家ライセンスである「一等無人航空機操縦士」を所持している操縦士が操縦する場合は、立入管理措置をしていない第三者上空でもドローンを飛行させる許可申請を行うことが可能になったのだ。

例えば、輸送分野で、補助者の代わりに監視カメラ等を用い、第三者の上空も含めて、自動航行でドローンを飛行させる場合が考えられる。ただ、「一等無人航空機操縦士」を取得していても、あくまでも第三者上空での飛行の許可申請の前提条件に過ぎない。現実には、飛行させているドローンを監視するための監視カメラ設置など、実行するにはそれなりの規模の投資が必要となり、少なくとも個人レベル、小規模事業レベルでドローンを飛行する場合はあまり関係ないように思われる。

 

「でも、国家ライセンス制度が創設されたら、個人レベルで空撮しかしないけど一応は国家ライセンスをとっておきたい」と考えている方もいるかもしれない。

時間にもお金にも十分な余裕なある方は何の問題もないだろう。

ただ、数十万円から、場合によっては100万円を越える学費が必要となる可能性があり、十分な時間も必要である。当初は大手航空会社や大手運送会社が自らの従業員に受講料等を負担し、勤務時間内に研修として行うことが多いのではないだろうか。

個人事業レベルや少人数のチームで空撮の業務をしている場合は、当面は、国家ライセンスを取得することに時間とお金をかけるよりも、その費用を最新型のドローンの購入費用に充てたり、全国各地で空撮をする経験をより多くしたりした方がよいと考える人も多いだろう。

いずれにしても、「特定飛行」を行う場合であっても、「国家ライセンス」は必須ではなく、これまで通り、DIPSを通じて許可申請手続きを行うことで国家ライセンスなし飛行させる人の方が当面は多数を占めることになるだろう。

 

ただ、「国家ライセンス」がどのような場合に必要となるのか、あるいは、不要なのか、以下述べていくことにする。

 

航空法において、国土交通大臣の許可や承認が必要となる空域及び方法での飛行を「特定飛行」という名称が使われるようになった。

具体的には、「空港等の周辺」、「150m以上の上空」、「人口集中地区の上空」、「緊急用務空域」に該当する飛行空域、「夜間飛行」、「目視外飛行」、「30m未満飛行」、「イベント上空飛行」、「危険物輸送」、「物件投下」に該当する飛行の方法のいずれか一つでも該当する場合は、「特定飛行」となる。

無人航空機の飛行形態については、リスクに応じた下記3つのカテゴリー(リスクの高いものからカテゴリーⅢ、Ⅱ、Ⅰ)に分類され、該当するカテゴリーに応じて手続きの要否が異なる。

 

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